コンテントヘッダー

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
コンテントヘッダー

ある朝、突然 Vol.1

朝起きて、ご飯を食べて、会社に行って働いて、帰って寝る。
薫にとって当たり前の毎日が、今日も繰り返されるはずだった。
いつものように地下鉄を降りて、足早に会社に向かう。
ダイエットのためと一駅分の距離を余分に歩く。それもいつもと変わらない。

たった一つ、いつもと違っていたのは、横断歩道を渡っていた時のことだった。
誰かの悲鳴が聞こえたような気がして振り向くと、すぐ目の前にトラックがあった。

――えっ?
薫は気を失ったが、すぐに目を覚まして自分の体を見回した。
良かった、無事だった!一体さっきのトラックは何だったんだろう。
昨日はゲームに夢中になっちゃったから、寝ぼけたのかなぁ。

薫は不思議そうに辺りを見回した。
そこには自分が見たものと同じトラックがあった。
その前に人だかりができている。薫は恐る恐る近づいてみることにした。
ざわざわする人だかりをかき分けながら、何があったのか覗いてみる。

――心臓が止まるかと思った。自分に瓜二つの女性が横たわっている。
なんで私がもう一人いるの?! 私が二人いる!!

驚いた薫は、何とかもう一人の私に触れようとするが、なぜかうまく触ることができない。
救急隊員がバタバタと慌ただしく、もう一人の私を担架に乗せて救急車へと運んでいく。

「ちょっと待って! ちょっと待ってってば!!」
大声で話しかけているのに、誰も振り返ってもくれない。

「――落ち着いて」
ふいに見知らぬ女性が声をかけてきた。「あなたはトラックの事故に巻き込まれたんですよ」
 
薫はますますパニックになった。
何を言ってるの、この人は。私ならここにいるじゃない。そうよ、早く会社に行かなくちゃ。

――気がつけば、もう一人の私は消えて、人だかりだけがまだ残っていた。
私も行かなきゃ!



なぜだかわからないが、薫がそう思った瞬間、病院の集中治療室にいた。
自分にそっくりな人間がベッドに横たわり、若い男性医師が心臓マッサージをしている。
もう一人の私の胸が押し潰されるに、薫の胸は苦しくなった。
「やめて、やめて! 痛い!!」

看護師が手早く電気ショックの準備をする。
あっという間に薫の胸には電極が貼られた。

――ドクン!
もう一人の私の体に電気が走ると、薫の体には雷で打たれたかのような刺激が走る。
何がどうなっているのか――

医師や看護師の努力もむなしく、心音を示す機械の音は、ピーッという長音のまま戻ることはなかった。

「ご臨終です」
医師の声に、薫はハッとして自分の胸に手を当てた。
自分の右手には、確かな心音を感じる。
良かった、私は無事だったんだ……

再び、事故現場で会った女性が、薫の目の前に現れた。
「――あなたは、たった今、亡くなったんですよ」

薫は唖然とした。
は? やめてよ! 冗談にもほどがある。私ならここにいるじゃない。

そう口に出したわけでもないのに、その女性は何かを感じ取ったようにふっと笑った。
薫の腕をつかむと、もう一人の私の体を触らせた。

――いや、正確には触らせようとしたのだが、実際には薫の腕は、もう一人の薫の体をすり抜けてしまった。
驚いた薫は、医療器具から看護師まで、手当たり次第に周りの物を触りまくった。

――触れない? どういうこと?
薫はわけがわからず、おびえた目で女性の顔を見た。
女性が穏やかな口調で、しかしきっぱりと話す。
「触れないでしょ。あなたは死んで肉体から出て魂だけになっているの。正確には幽体と言って……」

彼女の声が遠くなる。いや、本当は聞こえているけど、聞きたくなかったのだ。
私が死んだ? 私はここにいるのに、死んだってどういうこと?

     →NEXT

無題
スポンサーサイト
コンテントヘッダー

コメントの投稿

非公開コメント

最新記事
プロフィール

とものすけ

Author:とものすけ
40歳で身内を亡くしてから、強い憑依体質になりました。
自分の過去世や、人の記憶が一気に視えることがよくあります。
人は死んだらどうなるのか、何のために生きるのか、といったことをたくさんの方に知っていただきたいと考えています。

カテゴリ
カウンター
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
心と身体
16834位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
スピリチュアル
1937位
アクセスランキングを見る>>
検索フォーム
リンク
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。